蔵改造記録

土蔵に命を吹き込み、土蔵と暮らす

 

計画説明

貴重な地域資源である土蔵の活用

宮川茅野まちづくり構想の、「地域資源を活用した歴史を感じるまちづくり」の方向性に沿い、敷地内に残る明治26年に移築されたという貴重な土蔵を活用しました。蔵の出し部分は、魅力的な大きな梁を残して利用し、全面開口とすることで開放的な雰囲気を残しました。2連の土蔵のうち、休憩室は明るさと断熱性を考えて内装を新設しましたが、店舗とした蔵の内部は極力手を加えず、板倉の雰囲気を残しています。

断熱と通風による省エネ化

平屋建てのため、特に夏場の屋根からの日射熱を防ぐために、天井裏に断熱材を多めにいれ、小屋裏に換気扇などを設置することで小屋裏換気の促進を図っています。また、通風のために店舗内の高い位置に換気窓を設置して、熱気が抜けるよう配慮しました。

工事プロセス

解体・基礎工事状況

 

大梁補強作業

寒天倉の特徴的なトラス小屋組構造の採用

増築店舗部分に個性を与えるため、小屋組に地域内に残る寒天倉のトラス構造を取り入れました。トラス小屋は和小屋に比べ小断面の梁になるため、蔵の出し部分の大きな梁と対比的となることで、互いの特徴が活かされると考えました。

 
上棟式   寒天倉トラス構造

匠の技(左官工事・内装工事)

 
 
 
   

既存材活用による記憶の継承

土蔵の床板を店舗の床の一部に使用し、敷地内に残っていた鉄平石を床に貼るなど、既存材料で利用できるものはなるべく利用しました。店名看板はこれまでの店舗のものを使用して、その面影を残すことで、まちの記憶の継承を図っています。

 

街並に配慮した「建てぐるみ」形式の地域性をもつ外観

地域性を持つ蔵の屋根の形を大切にしながら、周辺の街並みに配慮して勾配屋根をかけました。雪などへの配慮から谷を作らないよう、蔵部分と増築部分を含む大屋根としました。周辺地域に見られる土蔵を母屋に取り込んで屋根をかける「建てぐるみ」という民家の形式を参考にしました。

 
宮川安国寺建てぐるみ

完成しました

設計・ベルヴィル設計事務所 施工・スワテック建設(株)

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